「医者の不養生」という。ことわざに登場するのは私生活で摂生しないお医者さんばかりではない。白いままのはかまをはいている染め物職人、身代を持ち崩す算術者、髪が乱れたままの髪結いの職人…。自分に手が回らない玄人が出てくる同種のことわざは多い。時に「しっかりしなさいよ」という意味合いを込めて昔から語られてきた
▼これに連なるようなことが、現代のサイバー攻撃対策の仕事でもあるらしい。三菱電機は公共施設などに対して、サイバーセキュリティー事業を展開しているそうだ。その道のプロが攻撃を受け、従業員ら数千人分の個人情報と取引先の機密が、流出したおそれがあると発表された
▼中国の集団がからんでいるとみられている。流出の可能性がある機密には、防衛省、原子力規制委員会などにかかわる情報もあるというから穏やかではない
▼原子力や防衛に関する情報の重さもよく知っていたはずの玄人に起きた事態である。ほかでも同じことが起きているのではないかと不安を感じずにはいられない
▼セキュリティーの弱点が海の向こうからも探られ、そこを突くためのあの手この手が編み出される。狙われた側が後手に回りがちな世界でもあるという
▼防御するのは簡単でないのだろうが、特に公共性の高い情報を扱う企業などで緩みは困る。不養生を戒める警鐘が鳴っているようである。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
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スタンドアロンからインターネットが当たり前のインフラになり、またスタンドアロンにいったん戻りですか。
社会はなかなか、真っ直ぐな上り坂の一本道のように発展しませんね。
螺旋階段をのぼるようにとはよく言ったものです。
by いっぷく (2020-01-23 22:40)
いっぷくさん
なにか画期的な方法が考えられても、その上をいくのが考えられてしまう。
この手の問題は、いたちごっこですよね。
by tsun (2020-01-25 14:00)