およそ半世紀前の随筆で作家の獅子文六が書いている。<クラゲでもいいから、人間以上の知恵と力を持った生物が、どこかの星にいないものか>。気配でもいい、襲ってきてほしいと。そうすれば<全人類の団結ということで、空前の国際親和が生まれる>
▼科学技術が進歩する一方、大国はそれを兵器に投じてにらみあっていた。世界の終わりを思わせる戦争も絵空事ではなかった東西冷戦期だ。物語の世界にも政治家の発言にも、同じような宇宙人来襲の夢想があった時代である
▼冷戦は過去のものだが、宇宙人を夢想したくなるような不安がどうやら生きのびていて、よみがえっているようだ。国連のグテレス事務総長が先週行った演説に、そんなことを思わされた
▼創設七十五年の年頭の晴れの場で、世界の現状の危うさを、厳しく断じた言葉は、なかなか衝撃的であった。宇宙人ならぬ「四人の騎士」が事務総長にはみえているという
▼四騎士は世界の終末をえがく聖書の「黙示録」に登場する四つの災いの象徴らしい。現代では、テロや核の脅威を含む地域同士の対立、気候危機、格差などで生まれる不信、デジタル技術の悪用の四つであるという
▼地球全体の脅威に違いないと、多くの人が知っていながら、団結して対抗できていない。人類が生んだ脅威である。国際親和のために、宇宙人を見つけ出すひまはない。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
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tsunさん おひさ です!
大変遅れてしまいましたが
まえつねワールドの全開おめでとうございます。
これが、準備されていた理想のサイトだったのですね~
tsunさんの多彩さがとても眩しいです。^^
by ロートレー (2020-02-01 17:16)
ロートレーさん
いや~、お恥ずかしいです。
理想とは言い難く、ロートレーさんのような皆さんのためになるブログを目指すべく、勉強中です。
でも、アイデアが全然降りてこないんですよね・・・。
by tsun (2020-02-01 19:28)