「ボクシングで勝つということは相手を踏みにじって、その上に立つということだ。だから勝った人間には責任というものが出てくる」。WBA世界ミドル級王者の村田諒太選手は高校時代の恩師にそう教えられたそうだ
▼負けた者の痛みや挫折。勝った者はその痛みを背負い、倒した相手のためにも勝利を目指す。だから、「人よりも1%でも多く練習と努力をしなければならない」
▼その容疑者が「勝者の責任」について少しでも考えていたなら。記事にため息が出る。千葉県警佐倉署が強盗致傷などの容疑で逮捕した男は、花咲徳栄高校(埼玉)が二〇一七年夏の甲子園で優勝した時の野球部主将だった
▼あの夏の決勝戦。初回、小柄な二番打者の打球は空高く舞い上がり、もう少しで、本塁打という二塁打に。好機を広げ、優勝への勢いをつけた。わずか二年後、同じ手が凶器を握ったのか
▼球児たちの頂点に立った。負かされた選手や、あの二塁打に対しても責任があったはずである。野球をやめようとも勝者にふさわしく、まっすぐな道を歩む。そうでなければ、負けた選手たちは報われぬ。歓喜の二塁打が泣く
▼進学した大学は中退していると聞く。挫折もあったか。何があったのかは分からぬが、もう一つボクシングの言葉を書く。「問題は倒れることではない。立ち上がろうとしないことだ」(ムハマド・アリ)
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
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>あの二塁打に対しても責任があった
なんか野球やりたくなくなる文章(笑)
試合やって勝っちゃ悪いのかよって。
野球そのものに罪深い原罪があるみたいですね。
村田は勝った事自体に「罪」を感じているわけではないと思いますが。
by いっぷく (2020-02-04 16:27)
いっぷくさん
勝った者の「責任」、まあ、一対一のボクシングならともかく野球だとって感じもしますよね。
by tsun (2020-02-04 17:36)