ヨハン・セバスチャン・バッハがオルガンの演奏についてこんなことを言っているそうだ。「なんてことはありませんよ。正しいタイミングで正しい鍵盤を押せば、あとは楽器が勝手にやってくれる」
▼「そこが難しいんですよ」とまぜっかえしたくなるが、「音楽の父」に言わせれば、それが当たり前のオルガンなのだろう
▼正しいタイミングで正しい鍵盤を押したとしても楽器が勝手に演奏してくれるとは限らないのか。残念ながら、音楽の話題ではない。神戸市の小学六年の女の子のことである。どういう事情か、真夜中、母親に家から追い出されてしまった。寒い季節である。女の子は児童相談所に助けを求めたが、インターホン越しに応対した当直職員がこう追い返した。「警察に相談しなさい」
▼児相に駆け込むという女の子の行動は「正しい鍵盤」である。それに応え、奏でられるべきは「大変だったね」と慰め、「大丈夫」と安心させる温かい音楽だろうに、オルガンは無情にも沈黙したのである
▼女の子は結局、自分で交番に駆け込んで無事保護された。児相の職員は冗談だと思って、対応しなかったと聞くが、真冬の午前三時に女の子は冗談を口にしないだろう
▼オルガンの語源は「器官」「器具」である。当たり前の音が出せなかった一台のオルガンに、心配性は社会という「器官」全体の不調を疑っている。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
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ソーシャルワーカー・ケースワーカーの数は全国的に見ても少なく、世界各国と比較したら圧倒的に少ないのではないでしょうか。
自分の場合は『アタリ』を引いたんでしょうけど、人間的に『アウト』な人がそう言うところにはいて欲しく無いなぁ。
by kame (2020-02-23 23:23)
人権が軽視されているこんな
国はなかなかないと思う。
モラハラ・パワハラ 定義も分かってないと
思われる。何かあった際は助けて~きゃあ では
なく 火事だあぁが人が出てくると聞いた。
by みうさぎ (2020-02-24 14:44)
kameさん
海外ドラマ『ER』が好きで何回も観てるんですが、ソーシャルワーカーやケースワーカーは呼ぶと直ぐに来てくれて、その人の判断で一時的に処理するんです。日本でもそれくらいの権限を持たせても、やはり「人」なんですよね。
by tsun (2020-02-24 16:14)
みうさぎさん
それは良いですね(笑)
確かに「助けて」だと一瞬身構えますが、「火事だ」だとすぐに人が出てきますね。
by tsun (2020-02-24 16:15)