- 中日春秋
「島国根性」は英語で「インシュラリティー」だそうだ。辞書には「孤立」「偏狭」の意味も添えられている。日本語の感覚に近い半面、完全に後ろ向きともいえない使い方もあるようだ。英国の作家オーウェルはこの言葉を用いて書いている
▼<イギリス人の島国根性、外国人をまじめに受け取ろうとしない性格は、たしかに愚かなことで…しかしそれはいわゆるイギリス的神秘というものの重要な部分を占めている…イギリス的性格と同じものである>(『ライオンと一角獣』)
▼監視社会の恐ろしさを予見した作家は、いまから半世紀以上前に、他国の人に比べようもないほどの孤立への志向の強さを論じている。最近、英国でも注目されているようだ
▼民情、国論が真っ二つに割れるような騒ぎは三年半余りにも及んだ。結局、国民性と不可分らしいこの島国根性は重かったということだろうか。きょうから英国はついに欧州連合(EU)の一員でなくなる
▼騒ぎは終わったわけではないようだ。EUとの協定は難航が予想される。スコットランドの離反も懸念され、栄光の連合王国がこのままでいられるのか疑問もあるという。前途の明るさは保証されていない
▼おそらく片道キップだろう。「行ったきりならしあわせに」。流行歌の一節ではないが「島国根性」に少しでも前向きないい意味が加わることになればいいが。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
「島国根性」というメンタリティは、島国の国民にか持ち得ないですよね。
もし日本が、韓国、フィリピン、ベトナム、マレーシアやインドネシアなどと東アジア連合に加盟したとしたら、やはり豊かで安全な日本に移民や難民が押し寄せて、「島国根性」どうのこうではなく、英国と同じように不満が高まるでしょうね。
今後の英国の行方により、追随する国も出てくるかもしれないですね。