この時期に、濃密接触である柔道・グランドスラム(GS)パリ大会が行われています。
フランスの英雄、国際大会での連勝154のテディ・リネールから、日本の影浦心が大金星。
リネールコールが沸き起こる完全アウェーの会場で、会心の内股透かしで技ありを奪って優勢勝ち。
リネールの内股を、景浦が内股透かしだったので、最初はどっちが勝ったか分からなかった会場も、ドッと沸いた後に「おおっー」とため息。しかし、その後に拍手も。
会場もほとんど埋まっていて、フランスの柔道人気が垣間見れました。
極寒の地、南極でジンギスカン鍋をやったら、どうなるか。「南極料理人」として有名な元越冬隊員、西村淳さんは実際に試したことがある。氷点下四〇度。暖房のない、野外での焼き肉は相当あわただしいらしい
▼焼けた肉を皿にいったん取って、おもむろに口に運ぶという通常のやり方は不可能だという。どうするか。「焼けたら速攻で口に投入」するそうだ。そうしないと肉は凍ってカチカチになる。缶ビールも開封後一分以内に飲み干さないと、ただの苦い氷に。あまり会話の弾む宴とはなるまい
▼その南極で先週コートなしで過ごせる場所があったというから驚く。アルゼンチンが観測拠点とする南極半島北端のエスペランサ基地で気温一八・三度を記録した。日本なら四月下旬ぐらいの暖かさ。無論、新記録である
▼ジンギスカンの話は「ドームふじ基地」での出来事。エスペランサ基地はふじ基地よりは気候的に穏やかな地点とはいえ、それでも南極のうららかな陽気は不気味である
▼「若者はグレタ症候群」。EUのボレル外相が環境活動家のグレタ・トゥンベリさんに触発され、気候変動対策を求めるデモに加わる若者は対策コストへの認識が不十分だとたしなめたが、南極の高温を見れば、若者の方に分がある気がしてならぬ
▼もはや、気候変動対策はあのジンギスカン流が望ましかろう。「速攻で投入」である。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)