- 中日春秋
元日の商家の様子を描いた落語の「かつぎや」。お正月から縁起でもないことばかり言う奉公人に腹を立てる旦那とのやりとりがおかしい。大阪では「正月丁稚(でっち)」
▼御幣かつぎのあの旦那さんに叱られそうだが、正月三が日の間は口にしたくない「忌み言葉」を書かざるを得ない。「ネズミ」。今年は子(ね)年である
▼人にあだをなす、その動物の名はせめてお正月ぐらいは聞きたくなかったか。<年に一度はものに臆すな嫁が君>中村草田男。正月の間はネズミと言わず「嫁が君」。ネズミは大晦日(おおみそか)の晩に嫁入りするという言い伝えに由来するそうだが、最近はあまり耳にしない
▼ネコが十二支に選ばれなかったのはネズミからウソの日程を教えられ、十二支の選抜試験に間に合わなかったせいで、だから、ネコは怒ってネズミを追いかけ回すようになったと子どもの時に教えられた
▼普段はあまり好かれないネズミが十二支の一番目。「嫁が君」という風流な名まで与えられていると聞けば、ネコはおもしろくなかろうが、理由があるらしい。「嫁が君」と呼ぶのはネズミへのお世辞の類いで、その年のネズミの害を防ぐためという説があるそうだ
▼ネズミに逆らわず、お世辞を使ってお引き取り願う。自然に対する人間側の腰の低さを感じる話でもあろう。気候変動問題を持ち出さずとも覚えておきたい、自然との付き合い方である。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
愛しのネコちゃんが十二支に入れなかったという説、初めて聞きました。
ホント、ネズミって小狡いですね。
昔からジェリーがトムにやっつけられればいいのに、と思って観てました。
そう言えば子供の頃、猫の居る家でしたが、ネズミも居ました。
よくネズミの頭が転がっていたり、ネズミが天ぷら油の缶の中で死んでいて、それで揚げた天ぷらを食べていたり・・・。
また、ネズミ捕りで捕まえたネズミを、そのまま水に沈め殺処分なんかしてたのを思い出しました。
「晦日」っていう、読めるけど、書けない漢字。
「日」に「毎」でみそか。
この機に覚えましたよ。