- 中日春秋
病の床にあった正岡子規は、門下の歌人から七草を植えたかごを正月七日に贈られた。気遣いにくわえ、素朴でやさしく、生命の勢いもたたえる七草の姿が、大病の身には好ましく映ったのだろう。随筆『墨汁一滴』に喜びを書いて、歌を詠んでいる。<あら玉の年のはじめの七くさを籠に植えて来(こ)し病めるわがため>
▼きょうは七草である。例年に比べ長かった年末からの休みを終えたばかりの人も多いだろう。ごちそうで胃腸が、いつもにも増してお疲れという方には、体にやさしく栄養もある七草のおかゆが好ましく思えているかもしれない
▼栄養と薬効への期待にくわえ、七草には邪気を払う願いも込められている。吉海直人さんの『古典歳時記』によると、昔の人はスズシロに「汚れなき清白」、セリに「競り勝つ」、ナズナに「なでてけがれをのぞく」などの意味を重ねてきたのだという
▼<せりなずなごぎょうはこべらほとけのざ…>のあの歌は、すでに江戸期にあったそうだが、なにやらありがたいおまじないのようでもある
▼振り返れば、ゴーン被告の逃走に統合型リゾート施設をめぐる汚職、米国とイランの緊張…と年末から新聞の一面を飾ってきたニュースは、どこに向かって進むのか、みえにくいものが多かった
▼消化できず、心にもたれているようでもある。病める世の中も、邪気払いをと願いたくなる。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
恥ずかしながら、七草を一つも言えなかった・・・。
「せり なずな おぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞななくさ」
高齢者の一般常識としては、これくらい覚えないといけませんね。
調べてみると、「すずな」は蕪(かぶ)で、「すずしろ」は大根(だいこん)でした。
大根の葉は結構好きで、喜んで食べています。
七草粥を食べて邪気を祓い、一年の無病息災を願いたいところですが、我が家の食卓は平常運転。