最近読んだ本、『銀河鉄道の父』門井慶喜著と『江戸の糞尿学』永井義男著が面白かったです。
宮沢賢治を父親である政次郎の視点で書かれたもので、読後しりましたが『銀河鉄道の父』は直木賞受賞作でした。
『江戸の糞尿学』は、江戸の糞尿はどう処理されていたのかが書かれています。小学校に上がる前までは汲み取り便所使用者。当時は肥桶を担ぐ人もをよく見掛けたし、畑には糞尿を醗酵させる肥溜めがありましたが、そんなところは江戸時代とまったく同じでした。
<このうえもなく、悲しい言葉。それは『ティンカーからエバースそしてチャンスへ』>。一九一〇年発表の「ベースボールの悲しい語彙(ごい)」という米国では有名な詩である
▼なぜこれが悲しい言葉なのか。三人の名は当時のシカゴ・カブスの遊撃手、二塁手、一塁手である。つまり描いているのはティンカーから二塁手、一塁手へとボールが渡り、併殺が完成する場面である。作者はニューヨークの新聞記者。カブスの巧みな併殺技によってしばしば好機を逃したニューヨーク・ジャイアンツのファンの立場から「悲しい言葉」とそのトリオの名を書いた
▼<高木から広瀬そして谷沢へ>。あるいは<高木から正岡そしてマーチンへ>。そうまねるが、今はファンには「悲しい言葉」に聞こえるか。中日の名二塁手として活躍した高木守道さんが亡くなった。七十八歳
▼二塁手の<高木から…>としたのは得意のグラブトスを思ってである。中前に抜けようかという当たりを、あの小柄な二塁手は逆シングルでさっとつかみ、そのままグラブから遊撃手にトス。球場はどよめく
▼守備に加えた俊足、好打。ヤマを張った長打もある。優勝した七四年、六月の阪神戦。古沢の初球をかっ飛ばしたサヨナラ3ランを当時の少年ファンはいつまでも忘れぬ
▼<一番高木が塁に出て>(「燃えよドラゴンズ!」)。一塁上が寂しくてたまらない。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)