毎日のようにニュースで流れる殺人事件。
しかし、日本では殺人事件件数は減少しているようで、昭和30年代は3000を超えていた事件数は、平成30年度は915件とのこと。
今日も77歳の父親が、53歳の息子を日本刀で刺して殺害。
こちらは殺害には至っておりませんが、33歳の娘が64歳の母親を包丁で切りつける事件。
殺人件数の中で一番多いのが、なんと家族間で起きる事件とのこと。
おちおちイビキ掻いて寝ている場合ではないかもしれません。
戦後大きな反響を呼んだ日本研究の名著『菊と刀』の中で、米国の人類学者ベネディクトがおもしろい指摘をしている。日本人は<容赦なく眠りを犠牲にする>。元来睡眠好きで、眠っていい時には、喜んで眠りにつく半面、必要とあらば、軍人も受験生も夜通しで頑張ると
▼批判も寄せられる本ではあるが、寝る間を惜しんで復興を成し遂げた日本の働き手の戦後の足跡などを思えば、ふに落ちる指摘ではないか
▼昭和四十年代あたりから味とサービス、価格で競い合ってきた日本のファミリーレストラン業界は二十四時間営業も取り込んだ。その眠らない営業が変化の波の中にあるようだ
▼外食大手のすかいらーくホールディングスがファミリーレストランの二十四時間営業を廃止すると明らかにした。同じ取り組みをする大手もあり、深夜の営業の減少が大きな流れになっている。背景に人手不足と若者の生活が変わっていることなどがある。抗しがたい変化の波だろう
▼<眠れないのかもしれない。眠りたくないのかもしれない。ファミリー・レストランは、そのような人々にとっての深夜の身の置き所なのだ>。村上春樹さんの『アフターダーク』。深夜の「ファミレス」が重要な舞台の長編だ
▼一人客が増え、昼とは別の物語の場を思わせる。ファミレスの深夜の雰囲気も定着していた日本の光景と思えば、寂しくもある。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)