- 中日春秋
一目瞭然のうそであっても、不安な世情と人心に乗じれば、広がっていくものらしい。「政府が兵士の生き血を取る」「赤い旗などを血で染める」。信じがたいデマが明治期のわが国で広まったと伝わる。徴兵制を説明する政府の文書に「血税」という言葉があったためだった
▼扇動者も登場したそうだ。当世にいうフェイクニュースだろう。そんな昔の騒ぎをあきれた出来事として、語れないような事態が進んでいるようだ。おそれられたことであるが、新型コロナウイルスの感染が拡大する背後で、デマも広がっている
▼特定の食品に予防や治療の効き目があるといった偽情報は中国を中心にネットで広がった。欧州メディアによると、麻薬が効くとか漂白剤の飲用がいいとか危険な内容のデマも拡散した
▼中国の陰謀が関係しているという説、感染した動物がうろついているといううわさなど、考えれば怪しいと分かりそうな情報が流れる。日本にも入ってきた。感染者が逃亡中というデマが、国内で流れたのは先月だった
▼世の不安をエネルギーに、現代の偽情報は高速で広がる。正しく怖がることを妨げ、人種や特定の人々への憎悪もあおりかねない状況だ。デマによる混乱もまた、感染症の怖さである
▼うそを通さず飛ばさないマスクを心に、だろうか。手洗いをするように、怪しげな情報をこまめにチェックする自衛も。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
中国では「漢方が良い」とか「バナナは食べるな」とか「60度のお湯を飲め」とか…。
デマの拡散は、緊張や興奮状態にあると、与えられる情報を批判的に見られなくなるためだ言われています。
出所のハッキリしないネット情報はもちろんですが、テレビなんかもいい加減でやらせとか本当に多いですよね。
テレビや、とくにネット情報は、なにも確認なしに受け入れない。
そんなメディア・リテラシーを身に付け、体に良い(かも)という理由で、安易に納豆や甘酒、サバ缶を買わないことですね。