たとえば、ヘミングウェーなら『日はまた昇る』『武器よさらば』『誰がために鐘は鳴る』…。警句を思わせるようで、中身への興味をかき立てる題名の文学作品は多い。<作家は題名によってまず呼びかける>のである、と作家のなだいなださんがかつて解説していた
▼読まれるべき何かがそこにつまっている作品に目を向けてほしい。そんな作者の願いが表れるのだと。作品の名前とは、読者への道しるべであるのだろう
▼大きな災害は一面で、教訓や後世に伝えるべき経験がつまった本に例えられようか。そこに教訓があると知らせる道しるべのような名前が付くことは大切だろう。気象庁は四十二年半ぶりに台風に名前を付けた
▼昨年の15号と19号はそれぞれ「令和元年房総半島台風」「令和元年東日本台風」となった。冠したのは、ともに簡潔な地域名だが、前者は大規模停電などで社会に不安を呼んだことを物語ろう。後者の名は広い範囲に洪水をもたらして多数の死者を出した記憶を伴おう。語り継がれるべき経験、教訓への道しるべになればいい
▼命名基準が一昨年改められたことで久々の命名となったそうだ。何号とされるこれまでの台風の印象は心なしか薄くも思える
▼命名の二つの上陸は一カ月ほどの違いしかない。同じ年でも、大きな被害をもたらす台風はまた来る。そんな注意を呼びかける名にも思える。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
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親から伊勢湾台風のことはよく聞かされました。
またあのような大災害がどの地域でも起きないことを
せつに願います。
東海地方の人だったら一度以上は聞かされたり知ってますよね。
by nikki (2020-02-26 22:51)
nikkiさん
聞かせてもらえたのも我々くらいまでですかね。
満潮とか材木とか、いろいろな悪条件が重なりました。
これからは、被害の大きくなりそうな台風や豪雨は増えるんでしょうね。
by tsun (2020-02-27 13:54)