- 中日春秋
軍事の才能を駆使して天下を取ったナポレオンに、臣下のタレーランが言ったと伝えられる言葉がある。「陛下、鉄砲でなんでもできますが、ただ一つできないことがございます。その上に座ることでございます」
▼武力で権力をつかむことはできても、武力で権力を保ち続けることはできない。皇帝のその後を思えば、真実味が増す言葉かもしれない。現代には例外の国があるようだ
▼北朝鮮が武力による統一を目指して韓国に攻め込んだ朝鮮戦争は、今年で開戦から七十年である。この間、武力という名の椅子に、時に深く座って、国内外をにらみながら、権力を維持してきたのが北朝鮮の指導者であろう
▼昨日、飛翔体(ひしょうたい)を日本海に向けて二発撃った。短距離弾道ミサイルと推定される。飛翔体発射は今年初めてである。しばらく静かであったが、座る椅子に変わりはないと示すような二発に気が沈むばかりだ
▼東アジアの国々が新型肺炎の拡大を防ごうと手を尽くしている時期である。北朝鮮も感染の脅威を感じているはずだ。軍事力を誇示して国内を引き締めるという狙いもあろうか。感染の拡大のため合同軍事演習を延期した米韓とは正反対の対応である
▼ずっと続く愚行だ。<剣(つるぎ)を取る者は皆、剣で滅びる>。新約聖書の有名な言葉を北に届けたいと思ってきた人は多いだろう。状況は残念ながら変わっていないようだ。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)
なんでしょうこの国は、構ってちゃん?
世界中がコロナウイルス関連一色なので、「おいおい、俺たちのことを忘れるなよ」とでも言いたのかな。
北朝鮮なんてどもでもいいけど(本当はよくない)、新型肺炎の拡大と各商品の品薄は早く収まって欲しい。