NHK、志村けんさんをしのび『となりのシムラ』など再放送
志村けんさんを追悼してNHKが『となりのシムラ』など再放送してくれます。
4日:総合テレビで『となりのシムラ 5』(後5:15~5:58)、
5日:BSプレミアムで『スペシャルコン5日ト 志村けん in 探偵佐平60歳』(後2:30~3:29)
休みはおとなしく、志村けんさんをしのびたい。
暴走するトロッコの先には五人の作業員がいる。線路は分岐もあるが、その先にまた一人。分岐器でそちらに向かわせることができる「自分」はさてどうするべきか
▼有名な「トロッコ問題」は、だれかを救うのにだれかを犠牲にしてよいか、何を基に判断すべきかと倫理を問う。すっきりとは答えが出ない思考の上の実験である
▼命のてんびんを思わせる難題を、現実の問題として突きつけられたような事態が、新型コロナウイルスの感染拡大が著しいイタリアで起きていた。患者が廊下にもあふれるほどになった病院で、乏しい人工呼吸器や集中治療室のベッドをだれに割り当てるか。悩んだ医師が多数いる
▼優先して助ける患者を決めることは、心情的には犠牲を選ぶのと変わらない。選択を強いられた医師の「うちひしがれている」という言葉が、現地からの報道にあった。助かりそうな人に人工呼吸器などをまわすのだと語っているが、見極めは難しく、心は痛み続ける
▼日本でも懸念が高まっている「医療崩壊」の恐ろしさを物語る話の一つでもあるだろう。都市部で医療をめぐる状況が悪化した米国では、いま医師たちが、同じ難問に直面しようとしている。イタリアを教訓にできなかったと悔やむ医師の声を米メディアが伝えていた
▼追い詰められる前に、トロッコを減速させ、別の岐路を見つけたいわが国である。
中日新聞:中日春秋(朝刊コラム)